【特別区Ⅰ類】文章理解の傾向と対策方法を完全解説|経験者採用でも役立ちます!

特別区の文章理解ってどんな特徴があるの?

英文も出るって聞いたけど英語は苦手…

そんな特別区受験生の皆さん、朗報です!
今回は「特別区に絶対合格したい!」というあなたのために、文章理解の得点力アップのノウハウをまとめました。

この記事で分かること

  • 特別区における文章理解の位置づけ
  • 特別区の文章理解問題の特徴と傾向
  • 現代文・英文それぞれの攻略ポイント
  • ムダのない超効率的3ステップ対策法
  • 試験直前でも使える得点テクニック7選

武田講師

ボリューミーな記事となっていますが、ココだけの情報が満載です。
読んで損はさせませんので、ぜひ最後まで読んでみてください!

目次
  1. 教養試験とは?
  2. 【現代文】出題形式と難易度
  3. 【英文】出題形式と難易度
  4. 文章理解の3ステップ対策法
  5. 【特別区】文章理解で"あと1点"を積み上げるテクニック7選
  6. まとめ

教養試験とは?

特別区Ⅰ類採用は1次試験と2次試験の2段階プロセスで構成され、1次試験で実施されるのが「教養試験」と「論文試験」になります。
そして最終的な合否判定は、この1次試験の結果と2次試験として実施される「面接試験」の結果を総合して決定されるようになっています。

試験の配点については公表されていませんが、過去の合格者データを分析すると、面接試験や論文試験と比較して教養試験の配点は低めに設定されていると推測されます。

しかし、配点の低さから教養試験をまったく対策しないのは危険と言わざるを得ません。

以下でその理由を詳しく見ていきましょう。

教養対策にまったく手をつけないのは危険!

特別区の採用試験では、わずか数点の差が合否及び順位に大きく影響する場合があり、この順位は後の重要なプロセスに直結しています。
具体的には「希望する区から区面接に呼ばれるかどうか」や、最悪の場合「採用漏れになってしまうかどうか」はこの順位にかかっているのです。

したがって、論文試験と面接試験のみに焦点を当てた対策では不安が残ります。

本番の教養試験で失敗すれば、他教科の出来次第では「希望する区に呼ばれない」可能性が高まり、さらには最悪のシナリオとして「不合格や採用漏れ」の可能性が生じてしまうのです。

このリスクを回避し、希望区からしっかり面接に呼んでもらうためにも、教養試験においては効率的かつ戦略的な学習を目指していきたいところです。
特に出題数の多い分野を集中的に学習し、効率よく得点を積み上げていく必要があります。

本記事で特集する「文章理解」は「数的処理」に次いで出題数が多い分野の一つのため、教養試験対策において決して軽視できない重要分野となっています。

文章理解は教養試験の2割を占める!

さて、特別区の教養試験においては例年「現代文」と「英文」で構成され、全体で9問出題されます。
下記の表をご覧ください。

教養試験科目問題数解答数
知能分野文章理解現代文全28問
必須解答
英文
数的処理判断推理
数的推理
資料解釈
空間把握
知識分野人文科学倫理20問中12問
選択解答
哲学
歴史
地理
社会科学法律1~2
政治
経済
自然科学物理
化学
生物
地学
社会事情
【特別区Ⅰ類】教養試験の出題内容

教養試験全体の40問のうち2割以上を占めており、しかもすべて必須解答となっています。
文章理解の出来は教養試験全体の得点率に影響が大きいため、どんなに苦手だとしても避けることはできないのです。

ただし、ここで注意すべき点があります。
教養試験全体の構成を見ると数的処理が約5割(19問)を占めており、最重要分野となっています。

したがって、教養試験攻略の優先順位としては第一に数的処理対策です。
そして、第二に文章理解対策ということになります。

実際、数的処理が得意な受験生の場合、文章理解の対策は軽めに済ませることも可能でしょう。
一方、数的処理に苦手意識がありなかなか得点が伸び悩む受験生にとっては、文章理解で高得点を狙うことで全体のスコアをカバーする戦略も有効です。

数的処理と文章理解の2大分野で試験全体の7割ですから、2大分野の得点を安定させることこそが教養試験攻略のポイントになるといえます。

武田講師

なお、数的処理対策については下記2つの記事で解説しているので、まだご覧になっていない方はあわせてチェックしてみてくださいね。

関連記事1はこちら

【特別区Ⅰ類】数的処理の傾向と対策方法を完全解説〈基礎理解編〉

特別区Ⅰ類採用の受験生に向けて、数的処理の特徴や出題傾向について解説していきます。この記事を読めば、文系で数学が苦手なあなたも合格できます!

関連記事2はこちら

【特別区Ⅰ類】数的処理の傾向と対策方法を完全解説〈実践・攻略編〉

特別区Ⅰ類採用の受験生に向けて、数的処理の傾向と対策方法を解説します。〈基礎理解編〉とあわせて読むことで、対策のポイントを完全マスターできるでしょう!

武田講師

あわせて、Ⅰ類向けの数的処理解説は下記で提供しています。
1問1問ポイントをおさえて解説しているので、効率的な過去問演習にぜひご活用ください!

教養試験全体で6割得点できるよう文章理解も準備!

過去の最終合格者のデータを分析すると、論文・面接が得意であったとしても、希望区内定を目指すなら教養試験で6割(できれば7割)は取っておきたいところです。

その目標を目指す場合、文章理解と数的処理を合わせて7割弱(19問程度)正解できればかなり余裕が出てくると思います。

ただし、この得点に到達するために必要な学習量は、個人の能力や既存の学力によって大きく異なります。

例えば既に8割以上の正答率を獲得できる受験生であれば、その実力維持に注力するだけで十分でしょう。
一方で、現状は得点にムラがあったり、より上位の合格を目指したりする場合は、さらなる実力アップが求められます。

武田講師

本記事の後半でどちらのケースにも対応できる「3ステップ対策法」を詳述しているので、参考にしてみてくださいね!

【補説】経験者採用受験生は解き慣れに特化せよ

ここまでの説明は主にⅠ類採用の受験生を念頭に置いたものですが、経験者採用を受験する場合は状況が若干異なります。

結論から言うと、経験者採用受験生の場合、教養試験対策はⅠ類採用よりも軽めでOKです。
その理由は2つあります。

1つ目は、経験者採用における教養試験の位置づけです。

経験者採用では教養試験は単なる足切りの役割しか持たないため、最終的な合否や希望する区への入庁可否には直接影響しないのです
(これらはすべて論文試験と面接試験の結果で決まります)。

2つ目は、経験者採用における教養試験の足切りラインの低さです。

4〜5割程度の得点で足切りをクリアできるため、過去問を解いてみて問題なくこのラインを超えられるのであれば、特別な対策は必要ありません。

しかしながら、長年社会人としてキャリアを積んできた受験生の多くは、ペーパーテストから長らく遠ざかっていたはずです。
そのため、実際に過去問を解いてみると思うように点数が取れず焦ってしまう方も少なくありません。

そういった方々にとっても、文章理解の対策方法はⅠ類受験者と基本的には同じです。
本記事で紹介する方法を参考に、効率的に得点力を高めていってください。

さて、ここからは現代文と英文それぞれの出題形式や難易度、そして効果的な攻略法について詳しく解説していきます。

武田講師

具体的な情報が満載ですので、しっかり読み込んで学習に役立ててくださいね。

【現代文】出題形式と難易度

特別区の教養試験における現代文の問題は、「1つの長文を読んで1つの問いに答える」というスタイルで計5問出題されます。

主な出題形式は以下の3つです。

  • 要旨把握(毎年3問程度)
  • 空欄補充(毎年1問程度)
  • 文章整序(毎年1問程度)

これらの形式について、具体的な例を見ながら確認していきましょう。

【現代文】特別区のサンプル問題を見てみよう

特別区人事委員会は教養試験の過去問を3年分公開していますが、著作権への配慮から文章理解の問題だけは掲載されていません。

そこで、本記事では著作権フリーの文章を使用し、筆者が独自に作成したサンプル問題を紹介します。
実際の試験問題よりも簡単になっていますが、「どのような問われ方をするのか」具体的なイメージを掴んでみましょう。

①要旨把握はどんな問われ方をするか?

要旨把握は、本文の趣旨や筆者の主張に合う選択肢を選ぶ問題です。

※以下の例題の出典は、三木清『人生論ノート』。(参照:青空文庫)
非常に古い作品ですが公務員試験で頻出の筆者・著作であり、現在は著作権フリーのため選定しました。

このように要旨把握は、どの選択肢も本文の記述にほぼ対応した内容で構成されているのが特徴です。
ただ、要旨(≒本文の主旨や筆者が最も言いたいこと)をズバリ言い当てている選択肢は1つしかないので、その選択肢を見つけられるかが勝負です。

さて、同じ文章を題材に他の問題形式も確認していきましょう。

②空欄補充はどんな問われ方をするか?

空欄補充は、本文内の空欄に正しい語句や一文を入れる問題です。

このように複数の空欄に入る言葉のセットを選ばせるのが特別区の特徴です(年度によっては1つだけしか空欄が空いていないときもあります。)

慣れてくると、複数の空欄があったほうが解く手がかりが多く正答しやすいと感じる受験生が多いようです。

③文章整序はどんな問われ方をするか?

文章整序は、シャッフルされた短文を正しい順に並べ替える問題です。

特別区の場合、上記のようにそれぞれの選択肢は短文(1文)で構成されています。

そのため、問題を把握するのに時間はかからないものの解答の手がかりは少ないので、結果的に難しめになってしまう年度もあります。

現代文の難易度は「標準~やや難」

ここまでの内容を踏まえると、特別区の現代文難易度は年度によって多少の変動はあるものの、おおむね「標準~やや難」レベルといえるでしょう。

特筆すべき点として、国家公務員試験や東京都庁試験でメインとなる内容把握は出題されず、代わりに要旨把握が中心となっているのが特別区の特徴です。

また、文章整序については繰り返しになりますが、並べ替える文の長さが短いほど手がかりが少なくなり難易度が上がる傾向にあるため注意が必要です。

武田講師

標準的な問題はしっかり得点していきたいところです!

出題形式別に考える!現代文の攻略ポイント

ここでは、各出題形式についておさえておきたい攻略ポイントを紹介します。

参考書などを見ると、解法が無数にあり混乱することがあります。
そのため本記事では、絶対に知っておきたい、知っておけば正解に近づく観点のみ紹介していきます。

下記の表にまとめたので、まずは確認してみてください。

では、形式ごとに一つずつ見ていきましょう。

【現代文】要旨把握の攻略ポイント

  • 最も伝えたいことはどの段落か(≒最も重要な段落)を考えつつ読む

各段落は「最も大事な段落」もしくは「それを支える段落」です。
今自分が読んでいるのがどちらなのか、頭の片隅に置きながら読み進めるといいでしょう。

  • 繰り返されるキーワードに着目する(要旨に関係していることが多いため)

本文を読み進めるうちに繰り返されるキーワードを見つけたら、チャンスです。
「繰り返し=強調」なので、要旨に関係していることが多いのです。

  • 強い表現に着目(こそ、とは、である等)

他の強調表現にも気を配りましょう。
よく出会うベスト3の強調表現は「こそ」「とは」「である」です。

これらの語が使われている文は、筆者も”力が入っている”ところであることが多いものです。
「とは」や「である」は見落としやすいので注意しましょう。

  • 具体例の前後に着目(例を使ってまで伝えたいことは何か)

具体例(例えば~)を見かけたら、その具体例はどこからどこまでかを確認します。
視覚化してカッコでくくるのがオススメです。

そして、具体例の前後を見て、具体例を出してまで筆者が説明したかったこと、伝えたかったことは何か探しましょう。
それはやはり、要旨に関わる重要な内容と考えられるからです。

【現代文】空欄補充の攻略ポイント

  • まず選択肢を素早く確認する

空欄補充問題では、まず選択肢を見ることです。
それぞれの空欄に大体どんな言葉が入るのかを把握した上で、本文を読み進めるようにしましょう。

  • 本文を読みつつ空欄を埋める(選択肢が絞れて解きやすい)

空欄に出会ったら、その都度空欄に入る語を検討するのがオススメです。
全部読んだあとに戻ってくると、周辺の内容を思い出すのに時間がかかるからです。

空欄に入る語が分かればそれで選択肢が絞れるので、次の空欄を考えるときに楽になります。

  • 空欄近くの接続語と指示語に着目

とはいえ、分からない問題は飛ばしていき、あとでじっくり検討すればOKです。

その際、空欄近くの接続語や指示語を探してみましょう。
解答のヒントになることが多いです。

【現代文】文章整序の攻略ポイント

  • まず指示語がある短文を検討する(一番簡単に前後関係が決まる)

文章整序では、まず「指示語」を見てください。

指示語は必ず何かの言い換えとして使われます。
ということは、指示語がもともと何の言葉の言い換えか辿れば、短文同士の前後関係が分かりますね。

  • 次に接続詞のある短文を検討する(逆接・因果・並列等のつながり)

次に見るべきは「接続詞」です。
ある短文に「しかし」とあった場合、「どの短文と対立関係になっているか」を確認することで短文同士の順序関係が見えてきます。

同様に「だから」や「ゆえに」があれば、「どの短文と因果関係か」を探ります。
「また」や「さらに」があれば、「どの短文と並列関係か」を調べていきましょう。

【英文】出題形式と難易度

特別区では現代文と同様、英文も「1つの長文を読んで1つの問いに答える」という形式で出題されます。
問題数は例年4問となっています。

主な出題形式は以下の3つです。

  • 内容把握(毎年2問程度)
  • 空欄補充(毎年1問程度)
  • 文章整序(毎年1問程度)

これらの形式についても具体的に見ていきましょう。

【英文】特別区のサンプル問題を見てみよう

現代文と同様に、英文問題も特別区のホームページでは公開されていません。
そこで、ここでも著作権フリーの英文を使用して筆者が作成したサンプル問題を掲載します。

問題を見ながら、試験へのイメージを膨らませてみましょう。

①内容把握はどんな問われ方をするか?

内容把握は、文章の内容と一致する選択肢を選ぶ問題です。

※以下の例題の出典は、L. Frank Baum『The Wonderful Wizard of Oz』。(参照:Project Gutenberg)
邦題『オズの魔法使い』としてよく知られた作品ですね。
公務員試験では古典(近年は『星の王子さま』など)も出題されるため選定しました。

要旨把握とは異なり、内容把握の間違い選択肢には本文内容と明確に矛盾する内容が含まれています。
そのため、慣れれば比較的取り組みやすい問題パターンといえるでしょう。

同じ文章を題材に他の問題形式も確認していきます。

②空欄補充はどんな問われ方をするか?

空欄補充は、本文内の空欄に正しい語句や一文を入れる問題で現代文と同じです。

選択肢の作られ方も現代文に非常に似ていますね。
取り組みやすい空欄から考え始めることで選択肢が絞れていきます。

③文章整序はどんな問われ方をするか?

文章整序は、シャッフルされた短文を正しい順に並べ替える問題で、これも現代文と同じです。

もうお分かりかと思いますが、選択肢の作られ方も現代文の文章整序と共通しています。

そのため、この形式を得意にすれば現代文・英文ともに得点力を伸ばすことが可能でしょう。

英文の難易度は「やや易~標準」

特別区の英文4問の難易度は年度によって多少の変動はありますが、おおむね「やや易~標準」レベルといえます。

特に英文の難易度は「本文が読みやすいかどうか」に大きく左右されます。
その点、特別区では近年、比較的読みやすいテーマの長文が増えていることから、受験生にとって取り組みやすくなっていると思います。

特徴的なのは、地方上級試験でよく見られる要旨把握は出題されず、代わりに内容把握が中心となっている点です。
内容把握のほうが選択肢を絞り込みやすいため、対策は立てやすいでしょう。

武田講師

英文は少々苦手という受験生が多いですが、しっかり対策した受験生にとっては稼げる分野になりますよ。

出題形式別に考える!英文の攻略ポイント

さて、英文についても出題形式別におさえたい攻略ポイントを見ていきましょう。

まずは、以下のまとめ表をご覧ください。

では、形式別に一つずつ詳しく見ていきましょう。

内容把握の攻略ポイント

  • 本文を読む前に選択肢に目を通す(少しでも読解負担を減らす)

まず英文の場合は、必ず選択肢から目を通しましょう。
選択肢は日本語なので、サクッと読めて本文の大意が掴めます。

また、脚注(語注)や出典までしっかり見ておきましょう。
それらを総合すると、本文を読む前から多くのヒントを得ることができ、文章の全体像を掴めるようになります。

  • 本文(英文)と選択肢(日本語)の対応関係を確認しながら読み進める

次に、本文を読んでいて「あ、これは選択肢1に対応しているな…」等と分かった場合は、そこで実際に本文と選択肢を読み比べ、正誤を確認していきましょう。

特別区の英文(内容把握)は通常、選択肢の1,2,3…の順番どおりに本文内で対応箇所が出現します。
そのため、この解き方が有効なんですね。

空欄補充の攻略ポイント

  • まず選択肢を素早く確認する
  • 本文を読みつつ空欄を埋める(選択肢が絞れて解きやすい)
  • 空欄近くの接続語と指示語に着目

これらのポイントは現代文の空欄補充とまったく同じです。

1点だけ異なるのは、英文の場合には接続詞がより多くなる傾向にあることです。
英文は論理的かつ明快な文章が好まれるので、その明確なサインとして接続詞が使われるんですね。

空欄補充の解答根拠になることも多いので、見つけたらすぐにチェックしておきましょう。

文章整序の攻略ポイント

  • まず指示語がある短文を検討する(一番簡単に前後関係が決まる)
  • 次に接続詞のある短文を検討する(逆接・因果・並列等のつながり)
  • そして各文の主語をチェックする

こちらも基本的には現代文の文章整序と共通しています。
ただし、最後の主語チェックは英語ならではといえるでしょう。

ご存じのとおり、英語は主語が省略されることがほぼ無いですから、文章整序のときにはどの短文にも一つずつ主語が書かれています。
この主語に着目することで、短文同士のつながりや前後関係が分かることが多いですね。

文章理解の3ステップ対策法

さて、ここまで特別区の文章理解問題の特徴や攻略ポイントを見てきました。
では、実際に特別区受験に向けて受験生はどのように対策を進めればよいのでしょうか。

ここでは、無駄を省いた効率的な対策法として「3ステップ対策法」をお伝えします。
3ステップは次のとおりです。

3ステップ対策法

  • ステップ1:過去問を2~3年分解く
  • ステップ2:自己採点して「あと◯点」を明確化する
  • ステップ3:目的に応じて準備する(実力維持or実力アップ)

それでは、各ステップについて詳しく解説していきましょう。

【ステップ1】過去問を2~3年分解く

まず大前提を再確認します。

それは、受験対策全体を見たときに、文章理解に使える時間は限られているということです。
特別区で配点が高いのはなんといっても論文、そして面接です。

限られた時間で文章理解の得点を最大化するためには逆算思考が必要で、「ゴール」から発想することが欠かせません。
つまり、試験当日に出会う問題に限りなく近い問題を使って学習すべきといえるでしょう。

そのため、とにかくまずは過去問を解いてみることが肝要です。
文章理解の問題は著作権の関係で公表されていないため、1日でも早く東京区政会館に出向いてコピーを入手してください(詳しくは特別区人事委員会の公式ホームページに記載されています)。

武田講師

ここで重要なのは、文章理解だけでなく教養試験の問題を「通し」で解くことです。
これにより、現時点での自分の得点力(どの分野で稼げて、どの分野で失点しているか)が分かるようになります。

【ステップ2】自己採点して「あと◯点」を明確化する

過去問を解き終わったらすぐに自己採点を行いましょう。
特別区が公表している解答には解説はありませんが、ここでは現在の得点力を確認することが目的のため問題ありません。

合格を目指すなら教養試験全体で6割(上位合格を狙っていく人は7割以上)はコンスタントに得点できるようになりたいところです。

そのためには、数的処理が得意な人でも文章理解で常に9問中4問以上は得点しておきたいですね。
数的処理の得点が不安定な人なら、9問中6問(できれば7問)得点することを目指しましょう。

そして、自己採点をした際に目標とする水準まで「あと何点」かを必ず確認してください。
この「あと◯点」を明確にすることが、次のステップでの方針を決める重要な指標となります。

既に安定して合格水準の得点ができている人は、次のステップでは最低限の「実力維持」を行えば十分です。
一方で、得点の積み上げが必要な人は、次のステップで「実力アップ」を狙っていく必要があります。

【ステップ3:実力維持ルート】定期的に本番形式でメンテする

既に合格レベルの人は、2週間に1回程度、教養試験を本番形式で解いておくと安心です。
試験形式への慣れをキープすることで、得点力を高く維持することができるでしょう。

定期的な演習をしていると試験のカンが鋭くなっていきます。
例えば、以下のようなことが分かってくるはずです。

  • どれくらいのスピードで解くと正答率が高まるか
  • 明らかに正答の選択肢を見つけたとき、他の選択肢をどの程度検討すべきか
  • 無理に時間をかけ過ぎないほうがいい難問はどれか

これらの感覚を養うことで、本番でより効率的に得点を重ねることができるようになります。

【ステップ3:実力アップルート】最初に解法インプットがコツ

現在あまり点が取れていない人も、2週間に1回程度、教養試験を本番形式で解くことは必要です。
本番どおり「2時間通し」で訓練することで、最適な時間配分を見つけたり、集中力の持続を鍛えたりすることができるでしょう。

しかし、文章理解の得点力を根本から伸ばすにはそれだけでは不十分です。

2週間に1回の通し訓練に加えて、現代文と英文を毎日最低でも1問ずつ継続して解く習慣をつけましょう。
続けることで、短期間でも読解力・解答力が着実に高まっていきます。

その際は、解説付きの教材を使用するのが効果的です。
LECの『過去問解きまくり』や実務教育出版の『新スーパー過去問ゼミ』といった定番書籍でよいでしょう。

ただし、これらの本には多くの自治体の過去問が混在していることに注意が必要です。
特別区対策をしたいのなら、特別区の問題だけを解くようにしましょう(もちろん併願する自治体の問題があれば、それも解いて構いません)。

上記の2つの教材は、導入で設問形式ごとの基本解法が解説されています。
その基本解法も活用しながら問題を解き、振り返るとよいでしょう。

2冊は甲乙つけがたい良書ですが、どちらかといえば『過去問解きまくり』のほうが文章理解に特化しており、特別区の掲載問題数も多いです。
そのため、どちらか1冊を選ぶとすれば『過去問解きまくり』のほうをオススメします。

以上3ステップを着実に実践し、本番で勝負できる実力をつけていきましょう。

【特別区】文章理解で"あと1点"を積み上げるテクニック7選

試験直前だけど、あと1~2点伸ばしたい…

最後まで得点力を伸ばすコツを知りたい!

ここまで読み進めていただいた受験生の中には、こんな方々も多いことと思います。

そこで、最後に試験直前や最後の追い込みとして、文章理解のさらなる得点力をギリギリまで高める「とっておき」のテクニックを7つ紹介します。

【テクニック1】「特別区の過去問」に1問でも多く挑戦すべし

大事なことなので、再度強調しておきます。
試験本番で出会う問題に最も近い教材は「過去問」です。

そのため、時期にかかわらず特別区の過去問を使ってトレーニングすることが最も効率的かつ効果的といえます。

他の自治体の過去問は同じ文章理解でも傾向がだいぶ異なるため、限られた時間の中で最大限得点力をアップさせるためには、特別区の過去問に特化して対策を進めましょう。

【テクニック2】文章理解は集中力が最も高まる時間帯に挑め

文章理解は現代文・英文を短時間で読みこなす必要があり、教養試験の中でも最も高い集中力が要求される問題種です。

しかし、文章理解の9問は教養試験40問の最初に配置されており、順番どおりに解こうとすると試験開始直後に取り組まなければなりません。
多くの受験生は集中力が高まり切らないまま問題を解いてしまっています。

試験スタート直後から集中力を上限まで高められる人以外は、「時事問題」や「社会科学」などの知識問題でウォーミングアップしたあとに文章理解を解くのがオススメです。

2時間の試験時間の中で、どの順番で・どの時間帯で文章理解に取り組むとベストなのか、過去問演習をする中で自分なりの最適解を探しておきましょう。

武田講師

ただし解く順番を変える場合には、マークミスに注意が必要です。

【テクニック3】空欄補充と文章整序は選択肢を見比べよ

空欄補充と文章整序は、選択肢をじっくり吟味するだけで正答に近づけることがあります。
選択肢同士の「違い」に着目し、そこを検討すると解けてしまうパターンが意外と多いのです。

正攻法で手も足も出ない場合は、選択肢の「違い」だけでもじっくり検討してみましょう。

【テクニック4】現代文は○○で解答速度が上がる!

現代文は、マーキング(丸をつけたり、アンダーラインを引いたり)することで重要箇所を視覚化すると解答速度・精度を上げることができます。
とはいえ、一般的な参考書で推奨されているマーキングは複雑すぎる場合があります。

特にマーキング習慣がなかった人は、次の簡単な2つのルールだけ試してみることをオススメします。

  • 具体例はカッコでくくる
  • 特に大事と思われる箇所がきたら、とりあえずアンダーラインを引く(何本引いてもOK)

具体例の多くは何らかの主張を裏付けるために使われるため、カッコでくくってサラッと読み流しながら(答えには関係ないことが多い)、セットで展開されている主張を探していくとよいです。
この主張が解答に絡むことが多いんですね。

よくある「"一番"大事なことに線を引く」というルールにしてしまうと、読んでいる最中には"一番"かどうかが分からず線が引けません。
"一番"を探すために戻り読みを繰り返すことで、時間もロスしてしまいます。

そのため、大事だと感じたらとりあえずアンダーラインを引き、読み終わったあとに一番大事だと思った箇所だけ二重線にするなどとルールを決めるとよいでしょう。

【テクニック5】今から英語を勉強しようとしてはいけない

受験生の中には、文章理解の得点力をアップするために英語の基礎学習に戻る人もいますが、残念ながらこれはまったくオススメできないやり方です。

英語は大学受験でメイン教科であったように、その学習範囲は膨大です。
受験まで1年以上のゆとりがあるならまだしも、そうでないなら基礎に戻って英文法や英単語を覚えている暇はありません。

しかも、勉強しても英文はたったの4問しか出題されません。
しっかり優先順位を考えた学習をしましょう。

英語力に自信がない人は、まず「出典・脚注・選択肢」をじっくり読んで、文章の大枠を把握することを意識してみてください。

それから本文を焦らず読み進めれば、簡単な問題については得点できるはずです。

【テクニック6】英単語を覚えたいなら○○のみに絞るべし

それでもどうしても英語を勉強したい!という場合は、英単語、それも動詞に絞って暗記することをオススメします。

動詞が分かれば、大体の文意を掴むことができるからです。
また、語数も限られているため暗記量をグッと減らすことができます。

例えば『過去問解きまくり』など、巻末に頻出英単語がまとめてある書籍が使いやすいと思います。

ただし、その場合も欲張って名詞やその他の文法事項も覚えようとしないように注意しましょう。
限られた時間で最大の効果を得るためには、優先順位をつけた学習が何よりも大切です。

【テクニック7】読むことすら難しい問題は「逃げるが勝ち」

現代文にしても英文にしても、本文が難解で「解く」以前に「読む」のに時間がかかる問題もあります。

そういう問題は、せっかく時間をかけて解いても残念ながら誤答になる場合が多いものです。
時間をかけて誤答なら、素早く諦めて他の問題に時間をかけたほうが試験戦略としては正しいともいえます。

そのため、本文を読み始めてどうにも難しいなと感じたときは、こだわらずにササッと解答してしまうクセをつけましょう。
そのような「逃げ」問題が一度の試験で1~2問あってもまったく問題ありません。

最悪なのは、序盤に配置された文章理解に時間をかけ過ぎて、他で得点できる問題にしっかり取り組む時間が取れなかったり、時間切れになったりする状況です。

本記事をここまで読み進めてくださった本気度の高いあなたには、そんなもったいないことだけは避けてほしいものです。

武田講師

そういった事態を避けるためにも、本記事で再三強調してきたように「特別区の過去問を解くこと」「定期的に"通し"で問題演習すること」が大切なのです。

まとめ

今回は、特別区Ⅰ類の文章理解の対策方法について解説しました。
長い記事になったので、箇条書きで重要ポイントをまとめておきました。

この記事の重要ポイントまとめ

  • 文章理解について
  • 特別区の文章理解は1次試験の論文試験等と一緒に実施される
  • 教養試験の配点は高くないが1点で順位は変わり、それが希望区にいけるかどうかに関わる
  • 希望区内定を目指すなら教養試験で6割(できれば7割)を安定して取りたいため、文章理解と数的処理を合わせて7割弱(19問程度)の得点を目指したい
  • 特別区の現代文は「要旨把握」「空欄補充」「文章整序」の3分野で構成されており、全体的な難易度は「標準~やや難」
  • 特別区の英文は「内容把握」「空欄補充」「文章整序」の3分野で構成されており、全体的な難易度は「やや易~標準」
  • 現代文の全体的な難易度は「標準~やや難」
  • 特別区の文章理解「3ステップ対策法」
  • ステップ1:過去問を2~3年分解く
  • ステップ2:自己採点して「あと○点」を明確化する
  • ステップ3:実力維持なら→2週間に1回程度、本番形式で問題を解く、実力アップなら→毎日継続して現代文・英文を1問以上解く
  • 特別区の文章理解 "あと1点"を積み上げるテクニック7選
  • テクニック1:「特別区の過去問」に1問でも多く挑戦すべし
  • テクニック2:文章理解は集中力が最も高まる時間帯に挑め
  • テクニック3:空欄補充と文章整序は選択肢を見比べよ
  • テクニック4:現代文はマーキングで解答速度が上がる!
  • テクニック5:今から英語を勉強しようとしてはいけない
  • テクニック6:英単語を覚えたいなら動詞のみに絞るべし
  • テクニック7:読むことすら難しい問題は「逃げるが勝ち」

本記事で紹介した方法を参考に、効率的かつ効果的な学習を進めていってください。
特別区職員として、区民のために働く夢が実現することを願っています!

予備校概要

プロコネクト
プロコネクト
プロコネクトは「特別区対策に完全特化」した予備校です。コンセプトは「日本で一番特別区対策に強い予備校」&「必要な指導を、必要なときに必要なだけ」。個別ニーズに応じた指導を提供し、受験生の合格力を一気に高めます。特別区を目指すなら、専門予備校プロコネクト!