【特別区Ⅰ類】数的処理の傾向と対策方法を完全解説〈基礎理解編〉
文系で数学はまったくダメだけど大丈夫?
どうやって対策を進めていけばいいんだろう?
こんな思いを抱いている受験生は多いのではないでしょうか。
今回は特別区Ⅰ類採用を受験するあなたに向けて、数的処理の特徴や出題傾向について解説していきます!
この記事で分かること
- 数的処理の特徴
- 数的処理の4分野の全体像
- 特別区で数的処理が重要な理由
- 特別区Ⅰ類における数的処理の出題傾向
- 特別区Ⅰ類に特化した過去10年分の解説教材
なお、数的処理の対策方法については本記事(前編)の「基礎理解編」と後編の「実践・攻略編」の2本立てとなっています!
本記事を読み終わったら、「実践・攻略編」もあわせてチェックしてみてくださいね。
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【サクッと確認】数的処理ってどんな教科?
「数的処理」とは教養試験の中の1科目であり、算数・数学的分野のことを指します。
下記の表は特別区Ⅰ類の教養試験科目をまとめたものですが、数的処理は数ある科目の中で最も多く出題される科目であることが分かります。
教養試験科目 | 問題数 | 解答数 | ||
---|---|---|---|---|
知能分野 | 文章理解 | 現代文 | 5 | 全28問 必須解答 |
英文 | 4 | |||
数的処理 | 判断推理 | 6 | ||
数的推理 | 5 | |||
資料解釈 | 4 | |||
空間把握 | 4 | |||
知識分野 | 人文科学 | 倫理 | 1 | 20問中12問 選択解答 |
哲学 | 1 | |||
歴史 | 1 | |||
地理 | 1 | |||
社会科学 | 法律 | 4 | ||
政治 | ||||
経済 | ||||
自然科学 | 物理 | 2 | ||
化学 | 2 | |||
生物 | 2 | |||
地学 | 2 | |||
社会事情 | 4 |
解答のうち半分近くを数的処理が占めており、教養試験の成否は数的処理にかかっているといっても過言ではありません。
そのため、「数的処理を丸々捨てる」というのはハイリスクと言わざるを得ないでしょう。
しかし、文系で算数や数学が苦手という人も多いと思います。
そんな受験生でも、対策次第で得点アップは十分見込めるのでご安心ください。
それはなぜか?
数的処理と一口に言っても、実際には様々なタイプの問題が出題されるからです。
数的処理の4分野
数的処理は大きく分けて次の4分野があります。
- 判断推理
- 数的推理
- 資料解釈
- 空間把握
以下、それぞれの分野の特徴を見ていきましょう。
①判断推理 算数パズル的な論理力が試される問題
判断推理の問題は数学的知識というよりも、パズルや謎解きのような論理的思考力が問われます。
数学的な知識が不要な問題も多いので、まずはクイズに答えるような気持ちで気楽に取り組んでみるのがよいでしょう。
ただし、中学・高校の数学の授業では出会わないタイプの問題も多く、しっかりとした対策なしでは解けないことも少なくありません。
判断推理が苦手な人の中には「ひらめき」がないと解けないのではないか?と考えている人もいますが、それは誤りです。
実際には出題パターンがほぼ決まっているので、過去問演習を徹底することで本番でも同じようなパターンの問題にスムーズに対応できるようになります。
判断推理は、算数や数学が苦手な人こそ重点的に取り組むべき分野です!
②数的推理 速さや整数などの算数・数学的な問題
数的推理は、4つの分野の中で最も算数や数学の基礎知識が直結する問題が出題される分野です。
ただし、出題レベルとしては中学・高校で習う内容よりは、小学校高学年程度の内容の応用問題が中心となります。
この分野が苦手な人は、問題演習を通して最低限おさえるべき公式や基礎知識を再確認し、しっかりと学び直す必要があるでしょう。
ただし、判断推理と同様、特別区でよく出題される分野やテーマは大体決まっているので、特別区の過去問に特化して対策することで学習内容を効率的に絞り込むことができます。
③資料解釈 図表から数値・傾向等を読み取る問題
資料解釈では、与えられた図表から特定の数値や増減傾向などを読み取る問題が出題されます。
この分野は、図表のどこを見れば必要な情報が得られるのかが分からず、問題全体を漫然と眺めて貴重な試験時間を浪費してしまう受験生が多いです。
これも他の分野と同様、過去問演習を繰り返すことで図表のどこを重点的に見るべきかのコツを掴めるようになります。
また、概算(選択肢の適否を判断するために行うざっくりとした計算)のテクニックを身に付ければ、素早く正確に解答できるようになります。
資料解釈は図表の見るべきポイントをおさえ、あとは計算さえすれば確実に正答を導き出せる分野でもあります。
過去問で徹底的に練習した受験生はこの分野を確実におさえ、得点アップを図っていますよ。
選択肢をしらみつぶしに解くことで正解にたどり着くこともできるので、ぜひとも極めたい分野の一つです!
④空間把握 立体や展開図などの図形を扱った問題
空間把握では、いわゆる「図形問題」が出題されます。
この分野は多くの受験生が苦手と感じるようです。
空間把握を正攻法で解くためには、頭の中で図形をイメージする必要があるため、苦手意識の強い人はなかなかアプローチが難しいと感じるかもしれません。
過去問を解き慣れておくことで、基本的な問題は解けるようにしておきたいですね。
出題パターンは大体決まっている
ここまで数的処理の4分野について確認してきました。
全体を通していえることは、どの分野も典型的な出題パターンが存在するということです。
つまり、特別区の過去問に特化した対策をすることで効率的に得点力を高めることができるのです。
教養試験でも数的処理以外の分野は、もっと幅広い学習が必要になったり、そもそも出題数自体が少なかったりと、なかなか効率的に得点を伸ばすことが難しいのが実情です。
そのため、最短距離で教養試験の得点をアップするなら数的処理の過去問を徹底攻略するのが近道です。
特に特別区を志望する受験生には、この勉強法が最適解といっていいでしょう。
特別区に特化した数的処理対策!
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特別区で数的処理が重要である理由
「特別区の1次試験は論文だけが勝負!」
「他の科目はほとんど何も勉強しなくても受かる!」
このような間違った言説が、ネット上には飛び交っています。
たしかに、特別区の1次試験の最重要科目が「論文」なのは間違いありません。
しかし、数的処理の対策もまた特別区Ⅰ類の合否を大きく左右する科目であり、そのことを多くの受験生は見落としています。
なぜ、特別区受験生にとって数的処理の対策が大事なのか?
その理由は大きく2つあります。
①数的処理からは逃げることができない
まず重要なのは、先ほども触れたとおり、教養試験のうち実に約半数を数的処理が占めているという事実です。
特別区Ⅰ類の教養試験は全40問中19問が数的処理となっており、しかもその19問はすべて必須解答となっています。
仮に、数的処理の学習を後回しにしたり放置したりするということは、教養試験の半分を捨てることと同じです。
選択問題である人文・自然・社会科学や時事問題の対策を疎かにすることとは、全く意味が変わってくるのです。
まさに数的処理は、対策しないと確実に大きな痛手を被る分野だといえるでしょう。
②数的処理を固めた受験生は論文に全集中できる
数的処理の対策を優先的に進めることには、もう1つ大きなメリットがあります。
それは、数的処理が解けるようになれば、それ以降は論文対策に全力を注げるということです。
特別区Ⅰ類の数的処理は、出題傾向が非常に安定しています。
そのため、ひたすら特別区の過去問演習に集中すれば短期間で得点力を高めることができます。
数的処理の学習を早めに仕上げることができれば教養試験全体の点数が安定し、最重要科目である論文対策に十分な時間を充てることができるようになります。
「教養試験は必要最低限の対策にとどめ、あとはひたすら論文に集中!」
この多くの受験生が理想とする学習計画を、自然な流れで実現できるわけです。
稀に教養試験対策をほとんど行わず論文一本に賭ける受験生もいるようですが、これは絶対にオススメできません。
学習過程で、対策していない教養試験がどうしても気になって論文に集中できないことはもちろん、実際に教養試験の過去問を解いても得点が安定せず受験前に不安が募るだけだからです。
なにより、論文の得点を数点伸ばすよりも、数的処理の典型問題を確実に解いて得点することのほうが遥かに簡単です。
数的処理の得点を安定させることで論文対策に注力し、受験を有利に進めていってほしいと思います。
数的処理の出題傾向
「数的処理の対策をしたほうがいいことは分かったけど、実際に特別区ではどんな問題が出るんだろう?」と思う受験生が多いかもしれません。
ここからは、実際の過去問を見ながら、特別区Ⅰ類の数的処理の出題傾向を見ていきましょう。
1問3分!「解き慣れ」必須なスピード勝負の試験
特別区Ⅰ類の教養試験は、全40問120分で実施されます。
数的処理以外の分野、特に文章理解の問題はどうしても解答に時間がかかります。
そのため数的処理は、基本的には1問あたり3分以内で解くことを目指したいところです。
出題レベルとしては標準的なものが多いものの、非常に難しい問題が混ざっていることもしばしばあります。
そのような難問に出会った場合は、こだわりすぎずにさっさと次の問題に進むことも重要な戦略の一つです。
しかし多くの受験生は、難問に粘って貴重な時間を浪費してしまいがちです。
数的処理の過去問を数多く解いて出題傾向を体に叩き込んでおけば、本番でもそういった難問を素早く見抜けるようになるので、無駄に時間を使うこともなくなるでしょう。
判断推理は6問出る【傾向はっきり!10問目は「試合」】
判断推理は近年、問題番号10~15で6問出題され、難易度は「標準~やや難」となっています。
特に例年10問目は必ず「試合」の問題が出題されるのが大きな特徴です。
また「試合」と並んで、11問目は「暗号」問題が頻出しています。
「暗号」は難問であることも多いので、難しいと感じたら粘らずに次の問題に進むとよいでしょう。
「試合」「暗号」以外にも、「対応関係」や「数量の推理」などのオーソドックスな問題が数多く出題されています。
数的推理は5問出る【使う公式を徹底復習!】
数的推理は近年、16~20の問題番号で5問出題されています。
毎年、「速さ」の問題が18問目に出題されるのが特徴です。
「速さ」と並んで「図形の計量」や「整数」なども毎年安定して出題されていますが、年度によって難易度にバラつきがあり、かなりの難問が出ることもあります。
その他には「仕事算」「確率」「場合の数」なども度々出題されています。
一方で、他自治体ではよく見かける「確率」の”期待値”問題は出題されていません。
どれも比較的オーソドックスな問題が多いため、過去問演習で対応できるでしょう。
資料解釈は4問出る【知らなきゃ落とし穴にハマります…】
資料解釈は、出題傾向が最も安定している分野です。
21~24の問題番号で毎年4問出題され、21, 22問目は必ず「表」、23, 24問目は必ず「グラフ」からの出題となっています。
資料解釈の面白いところは、選択肢の作られ方まで毎年酷似しているということです。
つまり、過去問演習を積むほど本番で有利になれる分野であるといえます。
ただし、毎年24問目の「構成比」(円グラフ)の問題は他の問題と比べて突出して難易度が高く(計算量が非常に多い)、解くのに時間がかかります。
この問題をどう処理するかは受験戦略次第ですね。
無理にこの難問で時間を使うよりも、他の問題で確実に得点することを優先すべきというのであれば、この問題は捨ててしまうのもアリです。
一方で、資料解釈はじっくり計算すれば必ず正答にたどり着けるので、どうしてもその1点がほしいということであれば、時間を割いて解くのもアリでしょう。
いずれにせよ、そのような戦略的な判断ができるようになるためには、とにかく過去問を徹底的に解きこむことが必要不可欠です。
空間把握は4問出る【苦手な人は過去問だけおさえて!】
空間把握は、例年25~28の問題番号で4問出題されます。
特に28問目は毎年「軌跡」の問題が出題されるのが特徴的です。
「軌跡」以外には、「パズル」「展開図」「投影図」「立体の切断」「サイコロ」などが頻出テーマとなっています。
特別区の空間把握の特徴は、これ以外の典型テーマからはあまり出題されないということです。
空間把握が苦手な人も、過去問の限られたパターンを完璧に押さえれば2, 3問の得点は十分狙えるでしょう。
本屋にベストな1冊が売っていないワケ
本屋で市販されている過去問集の多くは、「地方上級」や「東京都&特別区」といったように複数自治体を対象としています。
特別区Ⅰ類の数的処理に特化して解説しているものがないんですね。
これは、一度に数千部も刷らなければならない出版社の事情によるものと考えられます。
そこでプロコネクトでは、特別区Ⅰ類の数的処理に的を絞って教材を提供しています。
1問1問ポイントをおさえて解説しているので、効率的に過去問演習を行うことができます!
まとめ
今回は、特別区Ⅰ類の数的処理の対策方法(基礎理解編)について解説しました。
重要ポイントをまとめると下記のようになります。
この記事の重要ポイントまとめ
- 特別区の数的処理は「判断推理」「数的推理」「資料解釈」「空間把握」の4分野で構成されている
- 特別区では教養試験の半分が「数的処理」のため逃げられない
- 出題パターンは安定しており、過去問の演習で点数を伸ばすことができる
- 1問あたり3分で解くスピードが求められる
- 「判断推理」は「試合」「暗号」が頻出
- 「数的推理」は「速さ」「図形の計量」「整数」が頻出
- 「空間把握」は「軌跡」が頻出でイレギュラー問題が少ない
- 「資料解釈」は出題傾向が最も安定し、選択肢にクセがある
- 教材は特別区Ⅰ類「数的処理の過去問10年分」解説教材がオススメ
なお、本記事では数的処理の「基礎理解編」として出題傾向まで扱いました。
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