【特別区】年収ランキング&独自マッピングで考える「本当にオトクな区」はどこ?

特別区で働きたいけれど、希望区選びで迷ってる...

年収が高い区がいい!でも、ランキングだけで決めていいのかな?

本記事は、こんな疑問や不安にお応えする記事です!

特別区(東京23区)は高待遇で人気の組織ですが、実は区によって年収や生活コストに差があることをご存知でしょうか?

そこで本記事では、以下のような内容を徹底検証してご案内します。

この記事で分かること

  • 23区の想定年収ランキング
  • 特別区職員と他自治体職員の年収差とその要因
  • ここだけの2軸マッピング分析で選ぶ、本当にオトクな区

きっとあなたの区選びをサポートできる記事となっているので、ぜひ最後まで読んで、賢い区選びの参考にしてください!

【最新】特別区想定年収ランキングを公開!

さっそくですが、気になる特別区想定年収ランキングは下記のとおりです!

順位区名想定平均年収
1位足立区733万5074円
2位新宿区726万6292円
3位台東区725万2610円
4位目黒区722万9441円
5位杉並区722万5482円
6位中央区721万7394円
7位世田谷区720万8851円
8位品川区718万8563円
9位荒川区716万1317円
10位文京区714万7736円
11位江戸川区713万0077円
12位千代田区706万5036円
13位墨田区706万4143円
14位北区704万8304円
15位豊島区701万6575円
16位江東区700万5353円
17位練馬区695万4635円
18位港区692万7051円
19位大田区692万2451円
20位中野区688万7319円
21位渋谷区688万4825円
22位葛飾区688万3696円
23位板橋区673万1423円
参考:東京都「東京都区市町村の給与・定員等の状況について」特別区人事委員会「職員の給与等に関する報告及び勧告」
※平均給与月額×(12ヶ月+賞与4.85ヶ月)=年収として算出

近年の民間企業における賃金アップに伴い、特別区でも基本給及び賞与アップが毎年続いているため、その上昇分も加味した想定年収を示しています。

武田講師

ただし、ご覧のとおりそれぞれ僅差であり、年ごとの区順位は大きく変動するため、このランキングは一つの参考と捉えておくとよいでしょう。

【比較】他自治体よりかなり恵まれている特別区

ところで、特別区は他の地方公務員と比べて高い年収を得られることで知られています。

例えば下記の表をご覧ください。

自治体平均年収(万円)地域手当率
江戸川区71320%
東京都八王子市66015%
千葉県市川市64812%
民間平均(参考)460
参考:八王子市人事行政の運営等の状況の公表市川市の給与・定員管理の状況国税庁民間給与実態統計調査


23区の代表として江戸川区と、都内中核市や隣接市と比較して検証すると、数十万(民間平均にいたっては数百万)単位で年収が異なることが分かります。

東京都八王子市は中核市として人口規模も非常に大きい自治体ですが、実際に年収を比較すると特別区との差は歴然です。

また、千葉県市川市も23区(江戸川区)と川をまたいで隣接する都市です。
しかし、年収の面では特別区とさらに大きな差がついています。

では、その理由はどこにあるのでしょうか?

結論、特別区の年収が他自治体より高い理由は「地域手当」にあります。
地域手当とは、その地域の物価や生活コストを考慮して加算される手当であり、基本給の何%かが地域手当としてプラスされるものです。

武田講師

この地域手当、特別区ではなんと全国最大の20%が加算されます。

一方で、全国の8割以上の自治体ではこの地域手当は「0%」に設定されており、首都圏の大都市部の自治体のみ、地域手当が加算されるようになっているのです。

上記の表にあったとおり、八王子市だと15%、市川市だと12%しか加算されません。
(※市川市は人事院規則では10%、市独自で2%加算して職員に支給)

地方自治体の仕事は、基本的には全国どこでも、ほぼ共通した内容となります(自治体ごとにサービスが違い過ぎたら、不平等になってしまいますからね)。

公務員としての業務内容がほぼ変わらないにもかかわらず、これだけ給料が違うことを踏まえると、特別区は安定した雇用環境で安心して働ける恵まれた職場環境といえるでしょう!

民間平均の1.5倍もの年収を得られるのは大きな魅力です。

武田講師

【ちなみに…】
令和6年8月の人事院勧告によると、今後、地域手当の差が広がる懸念があります。

勧告では、地域手当を今までよりも「大くくり」で定める方向性が示されており、それによれば埼玉県や千葉県の自治体はすべて「4%」になります。(特別区は「20%」のままです!)

なぜ?特別区内でも年収に差が出る2つの理由

さて、特別区はかなり恵まれた自治体であることがお分りいただけたと思います。
一方で、特別区の中でも区ごとに年収差があるのはなぜでしょうか?

実は、23区とも初任給や昇給システムには一切違いがありません。
それなのに、なぜ職員の平均年収が区ごとに違うのか?

これには大きく2つの理由があります。

そして、皆さんには確認すべき別の視点もあるので、1つずつ詳しく解説していきます。

【理由①】「平均年齢の高さ」が区ごとに違うから

特別区内で年収に差が生じる1つの理由は「平均年齢」です。
ざっくり言うと、平均年齢が高い区では平均年収が高く、逆に平均年齢が低い区では年収が低い傾向にあります。

そのため、気になる場合には希望する区の年齢構成をしっかり確認しておくとよいでしょう。

また、平均年齢が高い区の場合は管理職も多く、平均年収を押し上げている事情もあります(管理職になると管理職手当もつき、給与が一段上がる職員が多いです)。

【理由②】「残業時間の長さ」が区ごとに違うから

もう1つの大きな要因は「残業時間の長さの違い」です。

公務員は、残業をすればその分の「時間外手当(残業代)」をしっかり受け取ることができます。
そのため、職員の平均残業時間が長い区は、残業手当の分だけ平均年収が上がるのです。

一部の民間企業やブラック企業とは違い、頑張った分が収入になるのはよいことですね。

一方で、残業が多すぎると体調を崩してしまう等のリスクも考えられますから、希望区を考える際は年収だけでなく、時間外労働時間の推移にも着目しておくとよいでしょう。

【注意!】物価や移動のコストも考慮に入れるべし

同じ特別区で同じ業務をするなら、なるべく年収が高い区で働きたいですよね。

しかし、平均年収だけを見てどの区を選ぼうか考えるのは少し待っていただきたいです。
なぜなら、職員の平均年齢や残業時間は今後大きく変わる可能性があるからです。

実際、働き方改革の進展により各区の残業時間は減少傾向にありますし、団塊世代の大量退職などで職員の年齢構成も若返りが進んでいます。

そして何より、「平均年収」以外に忘れてはならない要素があるのです。
それはズバリ「地域コスト(生活コスト)の違い」です。

特別区は東西南北に広がり、それぞれの区に特徴があります。

都心部の高層ビルが立ち並ぶエリアから郊外の自然豊かなエリアまで…。
地域ごとに地価や物価、交通費などのコストが大きく異なるんですね。

つまり、

  • 都心区…地域コスト(住宅費、物価、移動費など)が大きい
  • 郊外区…地域コスト(住宅費、物価、移動費など)が小さい

という違いがあるため、「平均年収」とあわせて各区の「地域コスト」を知っておくことが大切なのです。

【徹底分析】2軸マッピングで本当にオトクな区を見抜け!

さて、ここからは本当にオトクな区はどこなのか?を考えるために、さらに「地域コスト」に着目していきます。

まずは下記の表をご覧ください。

区名地域コスト
千代田区
港区
中央区
渋谷区
文京区
目黒区
台東区
品川区
新宿区
豊島区
世田谷区
中野区
区名地域コスト
杉並区
北区
大田区
荒川区
江東区
墨田区
板橋区
練馬区
江戸川区
足立区
葛飾区

上の表は、令和6年地価公示(国土交通省)をもとに地域コストを8レベルに分類したものです。
地価はその土地の物価に影響するため、地域コスト全体を測ることができます。

「都心区で働くとしても、郊外に住むけどなあ…」という方も多いと思います。

しかし、一日の大半は勤務しているため、物価の影響から逃れることはできません。
ランチを食べたり、ちょっとしたモノを買ったりしますよね。

また、通勤時間も馬鹿にできない「コスト」です。

都心区で働いて郊外に住めば、通勤時間の分、家庭や趣味の時間が減ってしまうでしょう。
その点では、見えないコストを支払っているともいえるのです。

年収が高い区はそれだけで魅力的に映りますが、物価や移動コストが高ければ、実質的な余裕は減ってしまう可能性もあります。
一方、年収が低めでもコストが抑えられる区では、むしろ豊かに過ごせるかもしれません。

そこで、特別区を選ぶ際には「想定年収×地域コスト」の複眼的な視点が大切です。

以下では、この2軸を可視化するマッピングを使って本当に「オトクな区」を検証していきます!

【ここでしか見られない】「年収×コスト」マッピングを公開!

武田講師

ここまでの内容を踏まえ、独自に作成した「想定年収」×「地域コスト」の2軸マッピングがこちらです!

この図では、2軸を次のように設定しています。

  • 縦軸…「年収」(平均年収)
  • 横軸…「地域コスト」(地価や物価などの指標)

つまり、右に位置するほど「地域コストが高い区」、上に位置するほど「年収が高い区」となります。

あなたの希望区は、どこに位置しているでしょうか!?

【結論】マッピングで分かった最強区は!?

「年収×コスト」マッピングで注目すべきは、色塗りされている部分です。

この色塗り部分に位置している4区(足立、杉並、荒川、江戸川)は、

  • 平均年収が比較的高い&地域コストが比較的安く、実質的な収入や生活面の余裕が最もある

このように推定されます。

特に注目すべき区は、足立区と杉並区です!
マップを見て分かるとおり、どちらも平均年収が高い区にランキングされています。

足立区は、23区の中でも特に家賃相場が低いことで知られています。
実際に足立区職員の方にお話を聞くと、多くの区職員が近場に住んでいるようなので、職住接近が実現できれば時間もお金もかなり節約できそうです。

杉並区は、都民以外には比較的知名度が低い区ですが、実はかなりアクセスのよい区です。
また、都内でも特に治安がよく、子育て環境が整っていることにも定評があります。
つまり、住みやすさも通いやすさもあるバランスのよい区といえるでしょう。

そして、次点で荒川区や江戸川区も地域コストが低くオススメできる区です。
近隣に住んでいる、もしくは通いやすい場合にはぜひ検討したいですね!

まとめ

特別区は地域手当20%という全国最高の待遇を得られる、非常に恵まれた職場環境です。
ただし、区ごとに年収、実質的な生活の余裕には違いが出てきます。

区選びに迷ったら、本記事内容に立ち戻って、判断材料の一つとしていただければと思います。

武田講師

特別区を受験する際にはエントリー時点で第3希望区まで書く必要があります。

「あと1区、どこにしようかな…?」と迷ったら、足立区・杉並区を始めとする「高年収×低コスト」の区は特にオススメです

皆さんが志望区を賢く選び、楽しく区職員ライフをスタートできることを心より願っています。

予備校概要

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