【特別区Ⅰ類】1次試験の配点・選択科目・受験戦略を徹底解説!

特別区の1次試験の配点比率ってどうなってるの?

最大限効率よく得点を伸ばすにはどうしたらいい?

特別区Ⅰ類(一般事務)の1次試験では、教養試験・専門試験・論文試験の3科目が出題されます。
そして、1次試験を突破するためには科目ごとの特徴を理解し、戦略的な学習計画を立てることが不可欠です。

そこで本記事では、以下の内容を詳しく解説していきます!

この記事で分かること

  • 1次試験の配点
  • 論文試験で確実に合格答案を書くコツ(「攻め」と「守り」の戦略)
  • 教養試験を手堅くまとめるためのコツ(選択科目選びの基準も解説)
  • 専門試験でコスパよく得点を稼ぐコツ(タイパ最高の学習法も解説)

最後まで読めば、1次試験の全体像がバッチリ掴めるでしょう。
サクッと読める量ですので、勉強の合間にリラックスして読んでみてください。

【公式発表なし】1次試験の配点を予測する

特別区Ⅰ類の1次試験対策を進めるにあたっては、まず各科目の配点比率を把握しておかなければなりません。

しかし結論から言うと、残念ながら特別区は試験の配点を一切公表していないため、その全容を知ることはできません。

ネット上には配点を予想している匿名サイト等もあったりしますが、そのほとんどが信ぴょう性の低いものである点には十分注意する必要があります。

ただし、これまで長年予備校業界に携わり様々な受験生を見てきた中で、「配点が高い可能性のある試験」をある程度予測することはできます

以下では、推定される配点比率とそこから導かれる学習指針を明確に示します。
また、よくSNSなどで囁かれるウワサの真偽にもズバリ言及していきます。

配点の高い試験は?

様々な予備校や受験生の情報を勘案すると、特別区Ⅰ類の試験で対策を強化すべき順番は「面接試験→論文試験→択一(教養・専門)試験」となります。

その根拠としては、択一試験が高得点であっても最終合格できなかった受験生が多数いたことから、択一よりも面接と論文の配点が高いと考えられるからです。

その上で、まず筆記試験を突破しないことには面接試験にたどり着くことはできないため、1次試験対策において力を入れるべきなのは「論文」といえるでしょう。

武田講師

論文で聞かれる内容は面接にも直結しますし、そもそも公務員はとにかく文章をよく書く仕事です。
論文に苦手意識がある人も、ここは自分を伸ばす機会と考えて、腰を据えて勉強していきましょう。

ただし同時に、特別区の試験案内には見逃してはならないポイントも記載されています。

五肢択一式試験の成績が一定点に達しない場合、その他の試験は採点の対象となりません(土木造園(土
木)、土木造園(造園)、建築、機械、電気を除く)。

特別区職員Ⅰ類採用試験案内【春試験】

つまり択一(教養・専門)試験の得点が低すぎると、その時点で不合格となってしまうということです(いわゆる「足切り」といいます)。
そのため、択一試験をまったく対策しないわけにもいきません。

しかも、教養・専門の出題範囲は多くの科目・分野にまたがり、想像以上に時間を取られるため、余裕をもった学習計画を立てなければいけません。

「論文対策だけでいい」説が大間違いであるワケ

しかし、教養や専門は学習負担が大きい一方で配点比率が低いと考えられているため、ネット上では、

「足切りはほぼ無いから、論文対策だけすればOK」

このようなウワサが根強く存在するのも事実です。
たしかに近年、足切り自体の点数はかなり低いと推計されています(後ほど詳しく取り上げます)。

しかし、私はそれでも「論文対策だけでいい」という発想は非常に危険だと考えます。

それは以下の3つの理由からです。

論文対策だけじゃダメな3つの理由

  • 区面接で希望区から呼ばれるためには上位合格が必要であり、1点1点の積み上げが大切だから
  • 論文は点数アップに時間を要し、他科目より得点が安定しづらい傾向があるから
  • 教養や専門はおさえるべきポイントがあり、タイパよく得点が伸びるコツがあるから

つまり、論文の力を極限まで高めつつ、教養・専門も最大限効率よく準備を進めることが大切なのです。

【要点解説】論文試験で確実に合格答案を書くコツ

論文試験は、言うまでもなく1次合否を大きく左右する最重要科目です。

しかし、ただ闇雲に対策するのでは、なかなか合格答案が書けるようにはなりません。
特別区の論文試験の特徴を理解し、マトを絞った準備をすることが重要なのです。

ここからは、過去10年分の出題を実際に分析しながら、効果的な対策法を探っていきましょう!

特別区Ⅰ類の論文形式やテーマを確認しよう

まずは、特別区Ⅰ類の論文テーマを過去10年分見てみてください(問題文の一部を抜粋しています)。

年度テーマ①テーマ②
2024地方行政のデジタル化いじめといじめによる不登校対策
2023若年層に伝わりやすい行政情報の発信人口減少下における人材活用
2022限られた行政資源による区政運営地域コミュニティの活性化
2021区民ニーズに即した魅力的な公共施設のあり方ごみの縮減と資源リサイクルの推進
2020先端技術を活用した区民サービスの向上都市における地域の防災力強化
2019外国人の増加に伴い生じる新たな課題認知症高齢者への対応
2018住民との信頼関係の構築子どもの貧困問題
2017空き家問題社会における女性の活躍推進
2016ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくり区民の視点に立ったICTの更なる利活用推進
2015自治体事務のアウトソーシングワークライフバランスの実現
2014自転車を安全・安心に利用できるまちづくりグローバル化の流れを反映させた取組
2013発信したい東京の魅力とその取組いじめや体罰が起こる要因と取組
2012自治体の説明責任の意義と果たし方人口減少・高齢社会において暮らしやすい地域の実現
2011災害に強い地域社会のあり方と地震対策地域コミュニティ衰退の要因と対策
2010待機児童増加の要因と対策都市生活の基盤となる施設のあり方と社会における合意形成
2009都市における犯罪被害への課題と要因、安心して暮らせる地域社会の実現学校選択制の取りやめ要因と地域社会が持つ問題、これからの学校と地域社会との関係
2008特別区間の連携・協力と自立した行政運営情報通信ネットワークの活用方法
2007住民との協働の進め方環境問題
2006少子化問題安心して暮らすことのできる地域社会の実現
2005地域福祉の向上地震対策
2004多様化した住民の要望への対応持続可能な社会の構築に向けた生活のあり方の見直し
2003安心できる区民生活と行政の役割働き方の多様化とこれからの社会
2002これからの地域社会と公務員の役割都市の再生と快適環境の構造
論文テーマ一覧表
武田講師

これを見ると、広く社会課題や行政知識を問われていることが分かりますね。
ただし、内容としては奇をてらったものは少なく、王道的なテーマが選ばれやすいことが分かるでしょう。

また、2つのテーマから1つを選べばいいというのも、受験生にとってはありがたいポイントです。
逆にいえば、しっかり準備を重ねれば2つのうちどちらかについては手堅く書ける場合が多いため、勉強している人・していない人の差が出やすいともいえます。

さらに、特別区は論文の問題文が長いという特徴があり、これも準備をしている受験生には有利に働きます。

長い問題文には、テーマそのものだけでなく「そのテーマがどのような意味を持つのか」、つまりテーマの意味づけや意義、重要性といったものが既に書かれています。

これは答案を作成する上で大きなヒントとなり得るため、そのヒントにしっかり着目した上で、書くべき論文の方向性を固めていけるとよいでしょう。

具体例として、2024年度出題の2テーマで実際に確認してみましょう。

上記のように近年の特別区では、

問題文の構成

  • テーマの背景(1,2段落目)
  • メインの質問文(3段落目)

という3段落構成の問題文になっていることが多いです。
※2段落構成の場合もありますが、「テーマの背景⇒メインの質問文」という流れは同じです。

受験生の皆さんは、まずこの「テーマの背景」をじっくり読むことが大切です。
ここに出題者の思いや問題意識が詰まっているからです。

例えばテーマ1の問題文を読んだとき、

・自治体DXが始まっている
⇒「たしか総務省が提唱しているんだよな、国全体の方針だったはず…」

・特別区の課題
⇒「たしかにIT人材は必要だな、区民サービスといえば最近チャットボットを導入する区が多いな…」

武田講師

このように問題文をヒントに論文の構想を始めれば、出題意図とズレない答案を作成することができます。
特別区特有の問題文の構造を見抜くことで、論文対策はグッとしやすくなるんですね!

以上のような特別区論文の傾向も踏まえ、次項ではより具体的な戦略を検討していきましょう。

論文対策でおさえるべき「守り」と「攻め」

論文対策における戦略としては、大きく分けて「守り」と「攻め」の2つがあります。

それぞれ具体的に見ていきましょう。

「守り」の戦略とは?

論文に初めて取り組む場合、まず論文で「大外し」しないための手堅い「守り」を固める必要があります。

具体的には、次の2点を意識することです。

論文「守り」の戦略

  • 模範答案を活用した基礎力養成
  • 特に「序論」の書き方を徹底的に練習する

いきなり論文を書くのは難易度が高いため、まずは模範答案を読みながら広く社会課題や行政知識をカバーし、同時に論文の書き方も学んでいきましょう。
そして、模範答案を音読したり写経したりすることで、論理的文章のパターンを体得することができます。

また、論文は一般的に「序論―本論-結論」の3段構成となっていますが、まずは「序論」をしっかり書けるように練習することをオススメします。
序論がしっかりしていればそこで論文の方向性は定まり、安定したレベルで論文が書けるようになるからです。

そして先に挙げたように、特別区の問題文はテーマの背景を複数示してくれていることがほとんどです。
このヒントをフルに活かし、序論を書く訓練を積むとよいでしょう。

しかし、「問題文にあるテーマの背景を読んでもイマイチ分からない」「論文の構想が浮かばない」と悩んでしまうケースもあると思います。

その場合は、そのテーマの基礎知識のインプット不足と考えられるため、模範答案等で基礎知識を得てから論文練習に取り組むようにしましょう。

「攻め」の戦略とは?

一方で、「守り」だけを固めていくのは対策として不十分であり、他の受験生に差をつけるほどの質の高い論文を書くためにはさらなる鍛錬が必要です。

よって、論文得点力を高めたい人や第1希望区に必ず行きたい人向けに「攻め」の戦略も伝授します。

論文「攻め」の戦略

  • 自分でどんどん論文を書き、添削を受ける
  • 課題に対して「3つの解決策」を常に考える習慣をつける

まず、論文学習を独学で進めるにはどうしても限界があります。
というのも、自分が書いた答案が合格レベルなのか、改善点がどこなのかといったことを判定することができないからです。

そこで、予備校などの添削指導を活用して、第三者から添削してもらうことを強く勧めます。

あわせて、論文の過去問や行政ニュースに日常的に触れ、行政としてできることを考えるクセをつけるとよいです。
その際、3つの解決策(具体的な取組や解決の方向性)がパッと浮かぶように練習していきましょう。

特別区Ⅰ類の論文は1000~1500字書かなければならないため、本論(≒解決策)の段落は2~3個必要です。
そのため、どんなテーマでも3つの策が浮かべば万全というわけです。

さらに、この対策は後の面接にもプラスになります。

  • 行政におけるDXについてどんな取組が必要と考えますか?
  • いじめ問題の解消に向けて行政ができることは何だと思いますか?

特別区の面接では、このように行政課題にまつわる質問が唐突に聞かれることが多々あるため、論文学習を徹底していた受験生ほどパッと答えることができるようになります。

3つの解決策があれば、特別区面接で有名な「他には?」という深掘りにも確実に耐えられますよ!

武田講師

なお、特別区論文のより詳しい対策方法については下記の関連記事からチェックしてみてください。

関連記事はこちら

【特別区Ⅰ類】論文の頻出テーマと対策方法を完全解説

特別区Ⅰ類の論文頻出テーマと対策方法について解説していきます。過去問分析で確認された「優先的に対策すべき10テーマ」についても惜しみなくお伝えします!

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武田講師

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【要点解説】教養試験を手堅くまとめるためのコツ

次に、教養試験対策のコツについて解説していきます。

まずは出題内容を見てみましょう。

教養試験科目問題数解答数
知能分野文章理解現代文全28問
必須解答
英文
数的処理判断推理
数的推理
資料解釈
空間把握
知識分野人文科学倫理20問中12問
選択解答
哲学
歴史
地理
社会科学法律
政治
経済
自然科学物理
化学
生物
地学
社会事情
【特別区Ⅰ類】教養試験の出題内容

教養試験は、「知能分野」「知識分野」に大別され、特に「知識分野」は自分が解きたい問題を選ぶ選択制となっています。

ここでは、選択科目の選び方はもちろん、「選択科目以外はどうするか?」という疑問にも答えます。
また、具体的な時間配分についても一緒に確認していきましょう!

【即決!】選択科目選びを一発解決する2ステップ

まず、教養試験の選択科目の選び方について、下記の表にまとめました。

結論、以下の2ステップで選べば間違いありません。

教養試験の選択科目の選び方2ステップ

  • ステップ1:「社会事情(時事)」で4問選ぶ
  • ステップ2: 残り8問は過去問を解いて自分が解きやすい分野を選ぶ

まず1ステップ目では、選択科目12問のうち4問を「社会事情(時事)」から選ぶことをオススメします。
社会事情は範囲が狭く伸びやすいだけではなく、論文や面接対策にもつながるためです。

次に2ステップ目では、人文・社会・自然科学の中から残りの8問を選んでいくことになりますが、ここで迷う受験生が非常に多いです。
これは個々人の解きやすさに依存するため、過去問を2~3年分程度解いてみましょう。

そして、自分の中で得点率が高い分野、少し勉強したら伸びそうな分野から8問選べばOKです。

一般的に、数学・理科アレルギーの人は、暗記主体で乗り切れる「生物」や「地学」を選ぶとうまくいくことが多いです。
一方で社会分野が苦手な人は、範囲が狭く、時事問題対策との相乗効果もある「政治」や「経済」を選ぶとよいでしょう。

選択しない予定の科目は一切勉強しなくていいの?

受験生の方からは、よく「選択しない科目は勉強しなくていいのか?」と聞かれることがあります。
結論からいうと、参考書を買ってじっくり読むほどの勉強はしなくてもOKです(というか、そんなに時間的余裕がない人が多いはずです)。

ただし、選択する予定がなくても過去問だけは解いておくとよいでしょう。

過去問を解いておけば、例えば、

  • 水溶液の液性の問題(リトマス試験紙やBTB溶液)なら意外と解けるな
  • 世界史は苦手だったけど、古代・中世の問題だったらわりと当てられるな

こんな嬉しい発見もよくあるからです。

しかも、教養試験は例年、過去問と似たような問題が出題されるため、サラッと目を通しておくだけでも得点できる可能性が高まります!

武田講師

ちなみに、歯が立たない問題は深入りせず放置してしまって大丈夫ですよ(あくまで選択しない科目のため)。

特別区の教養試験の問題は難しくない!しかし…

過去問演習を強調するのは、もう1つ理由があります。
それは、特別区の教養試験は「時間との勝負」だからです。

下記の2つのケースをご覧ください。

ケース知能分野 (28題必答)知識分野(12題選択)合計時間・試験時間との差異
4分/1問 ⇒112分1分/1問 ⇒12分124分・制限時間を4分オーバー
3.5分/1問 ⇒98分1分/1問 ⇒12分110分・見直し用に10分残せる

難易度としては「基礎~標準」の問題が多いのですが、特別区の教養試験はとにかく時間がありません。
40問を120分で解くため、単純計算で1問あたりにかけられる時間は「3分」となります。

しかし実際には、問題数が多い知能分野(現代文・英文・数的処理)はもっと時間がかかります。
特に資料解釈では、多くの受験生が1問に5分程度取られることになりますが、上記のケース1を見れば分かるとおり、知能分野を1問4分ペースで解くと間に合わないのです。

そこで、知能分野は「1問3分半」のペースで終えられるように準備を進める必要があります。

また、数的処理(特に「暗号問題」など)で長考し、時間をロスすることは避けるべきです。
どんなに難しい問題であっても、1問1点の重みしか持ちません。

そこで、1~2分検討して分からない問題は適当にマークして飛ばすといった臨機応変な判断も求められます。
過去問演習を徹底し、この実践的な「割り切り力」をも鍛えておく必要があるのです。

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武田講師

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【要点解説】専門試験でコスパよく得点を稼ぐコツ

特別区の専門試験は、下記の11科目で構成されています。

それぞれメリットとデメリットについてもまとめました。

科目メリットデメリット
憲法既習の人多い、的を絞れる範囲が狭いが深い理解が必要
行政法標準的難易度、実務に直結学習時間はそれなりに必要
民法①頻出科目で過去問が豊富難易度高く範囲が広い
民法②試験での重要度が高い難易度高く範囲が広い
ミクロ公共政策の基礎として重要数学的理解が必要
マクロポイント明確、学習しやすい数学的理解が必要
財政学経済学の知識を活用可能範囲が狭いが深い理解が必要
経営学実務的な知識が身につく幅広い出題で的を絞りづらい
政治学比較的易、暗記で対応できる暗記量はけっこう多い
行政学比較的易、暗記で対応できる暗記量はけっこう多い
社会学比較的易、暗記で対応できる新しい理論や学者も出題される


各科目を見てみると、「専門科目」と呼ばれるだけあってどれもなかなか難しいです。

そこで以下では、多くの受験生が悩む科目選択から効率的な学習方法まで、一気に解説していきます。

武田講師

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専門試験は「どれを選ぶか」というより「どれを切るか」


特別区の専門試験は55問中40問を解答しなければならないため、8割方の問題を解く必要があります。
そこで、受験生に必要なのは「どの科目を選ぶか」ではなく「どの科目を切るか」という視点です。

これも教養試験と同様、過去問を1年分だけでもいいのですべて見てみるとよいでしょう。

その際、「この科目は全然歯が立たないな」「この分野は大学でまったく勉強していない」という感想を抱く科目は切ってしまってもいいかもしれません。

特別区受験生の場合、「民法2科目」もしくは「経済学(ミクロ・マクロ)」を切る場合が多いです。

民法は学習範囲が広く問題の難易度も高いので、併願等で必須でなければ避けるのも選択肢の1つです。
また「民法はいけるけど、数学がダメ」という受験生(法学部生など)は、経済学を避ける道もあります。

どちらにしても、まずは過去問を1回解いてみて、各科目の難易度を体感することから始めましょう。

「3科目切ってもOK?」受験生の迷いに答えます

民法or経済学のように、2科目しか切っちゃダメなの?

問題数から考えるともう1科目(計3科目)切ってもいいのでは?

こんな風に思う受験生もいるでしょう。
たしかに専門試験は11科目×5問=55問、そのうち40問解けばいいので、最低限の8科目を勉強し、3科目は切れる計算になります。

この点について、私は下記のように考えています。

専門科目を選ぶときの考え方

  • 専門対策の時間があるなら、2科目カットまでに抑える
  • 専門対策の時間が全然ないなら、3科目カットも仕方ない

というのも、2科目カットまでに抑えた方が得点が高く安定するんですね。

2科目カットまでに抑える(=45問解く準備をする)と、本番で40問解答する際に余裕が生まれます。
例えば、奇問・難問や、ド忘れした知識問題は、その場で回避することができます。

そのため、専門対策の時間をある程度取れるなら、切る科目は2科目までに抑えるのが賢明でしょう。

一方で、日数が限られていたり、論文対策に時間をかなり割かなければいけなかったりする場合は例外です。
その場合は遠慮なく3科目を切り、最低限の対策である程度の得点を手堅く固めていきましょう。

武田講師

ただし3科目切る場合には、専門で選択する8科目、そして論文対策を他の受験生以上に入念に行いましょう。

専門の得点が伸びない人がやっている勉強法

ここで注意点として、専門科目を対策する上で、受験生が最もハマりやすく・効率が悪い勉強法をお伝えしておきます。

それは、「参考書をじっくり読んで100%理解する⇒問題集に取り組む⇒過去問に取り組む」というやり方です。

この方法は間違っているわけではない(むしろ正攻法の学び方にも見える)のですが、公務員試験の勉強方法としては非常に効率が悪く、特に専門科目では避けるべき戦略です。

まず「理解→実践」は一見合理的なようで、実はとてもムダが多い勉強法です。
「問題を解く過程で理解が深まる」場合も非常に多いからです。

また、専門8科目をこの方法で勉強すると、ほぼ確実に過去問が疎かになってしまいます。

というのも、専門科目は本来それぞれが大学4年間で学ぶれっきとした「学問」だからです。
理解するのに一苦労ですし、さらに問題集で網羅的に演習していけば、いくら時間があっても足りません。

結果として、過去問演習に回せる時間がかなり削られてしまうんですね。

そして、そんな過去問軽視の学習をしていると、特別区の問題傾向を無視した学習になりがちです。
特別区であまり出題されない範囲の学習に注力したり、これまたムダが多くなってしまいます。

専門で得点が伸びる人は●●●を大切にしている

本記事で一貫して強調してきた内容ですので、皆さんはもう●●●が何か分かりますね。
ズバリ、「専門で得点が伸びる人は過去問を大切にしている人」です。

武田講師

過去問は、特別区からあなたへのメッセージでもあります。
「こういう問題を解けるようになって、試験会場にいらっしゃい」と教えてくれているんですね。

ですから、専門科目であっても、まずは過去問から解き始めることを推奨します。

「いきなり解いたら、全然分からないんじゃないかな…」と考えてしまう方が多いでしょうが、最初はもちろんまったく解けなくてOKです。
解いたあとで参考書の解説を見て、少しずつ理解していけばいいのです。

「過去問に取り組む⇒参考書を参照する(以降、「過去問→参考書」のループ学習を進める)」と進めていくことで、着実に専門科目の得点力が高まっていきます。

過去問ではなく問題集を解けばいいのでは?

と思われる方もいるかもしれませんが、問題集には特別区以外の自治体の問題も混ざっていることが多く、問題傾向が少しズレるのが難点です。
そのため、過去問ほど優先度は高くないと理解していただければと思います。

過去問で対策するのは「正攻法ではない」と感じるかもしれませんが、実際にはこれが最も効率のよい勉強法なのです。

繰り返しになりますが、専門科目はそれぞれが重厚な内容となっており、ほとんどの受験生はこの内容を数か月~1年程度の準備で身に付けなければなりません。
しかも、論文や教養の対策と並行しながらです。

ですから、皆さんにはしっかりと「特別区に入庁する」という目的から逆算して思考し、確実に合格点を取るために最短・最速の学習戦略を選んでほしいと思います。

【補足】いわゆる「足切り」への合理的な考え方

特別区においては、1次試験の平均点や足切り(ボーダー)は公表されていません。

しかし、各予備校や受験生の情報を総合すると、6割程度の点数を獲得できていれば問題ないと考えられます。
※ボーダーは毎年変化します。

特別区では択一試験よりも論文や面接試験が重視されている(配点が高いと考えられる)ことを踏まえると、まずは教養試験全体で6割を目指して対策していくのがよいでしょう。

もちろん8割、9割と高スコアを目指しても構いませんが、筆記試験では論文も課されるため、教養試験対策ばかりに時間を費やすのはややバランスが悪いです。

そのため、まずは安定した点数(6割)を取れるように演習を重ね、余裕が出てきたらより多くの点数を積み重ねるために7割、8割と少しずつ得点率を上げていくのが合理的な戦略といえます。

このようにタイパを意識したやり方で、まずは「受験生の平均」を目指していきましょう。

まとめ

特別区Ⅰ類の1次試験対策では、教養・専門・論文それぞれの特性を理解し、学習計画を立てることが大切です。
本記事をヒントに科目選びや過去問を起点とした対策を進め、効率よく得点アップを図っていきましょう!

その先に最終合格、そして希望区で迎える春が待っています。
皆さんの奮闘を、応援しています!

予備校概要

特別区専門予備校プロコネクト
特別区専門予備校プロコネクト
プロコネクトは「特別区対策に完全特化」した予備校です。コンセプトは「日本で一番特別区対策に強い予備校」&「必要な指導を、必要なときに必要なだけ」。個別ニーズに応じた指導を提供し、受験生の合格力を一気に高めます。特別区を目指すなら、専門予備校プロコネクト!