【特別区】有給消化率&職員住宅の実態を徹底解説【ランキング付】

特別区職員になったら、有給休暇は自由に取れる?

都市部だけど、家賃補助や職員住宅は充実してるかな?
本記事は、特別区を目指すあなたが抱えるこんな疑問や不安にお応えする記事です!
この記事で分かること
- 各区の有給休暇消化日数ランキング
- 民間の「有休消化率」の落とし穴
- 特別区の有給休暇消化率が高い理由
- 特別区の「住居手当&職員住宅」事情
- 「人事に聞けない」疑問に答えるQ&A
この記事を読めば、入庁後の暮らしがリアルにイメージできるはずです。
ぜひ最後までチェックしてみてください!
【特別区】有給休暇消化日数ランキング【政府統計で判明】

上記は、総務省「地方公共団体の勤務条件等に関する調査」を基に作成したランキングです。
(労働者平均は、厚生労働省「就労条件総合調査」の数値を参照。)
このランキングから、次のようなことが分かります。
ポイント
- 有休消化数について、23区すべてが日本の労働者平均を大きく上回っている
- 上位の区では、多くの職員が有給休暇をほぼ消化しきれている
- 23区平均値で見ても、実に一般労働者の1.5倍以上の有給休暇を取れている
一方で、昨今は、ワークライフバランスを謳う民間企業も増えてきました。
見た目の有休消化率でみると、特別区に負けない企業も存在します。
しかし、民間企業と特別区を比べる場合、数値だけを見ると失敗するかもしれません。
特に民間企業の「有休消化率」を見る場合には注意すべきポイントがあるので、次項で詳しく見ていきましょう。
【注意!】民間企業の「有給休暇消化率」の落とし穴
日本では労働基準法などで、民間企業も含めて労働者が有給休暇を取得できる仕組みが整っています。
ただ、「制度上使える」ことと「実際に使える」ことは別問題です。
実際に、
△ 輪番でたまに有休を取らされる(=自分で休む日を決められない)
△ ベテランへの根回しが必要など、自由に有給休暇を取れない雰囲気が残っている
△ 土曜出勤日を設定し、そこで有休を社員に取らせ、見た目の有休消化率を高めている
このような例は、枚挙に暇がありません。
特に3つ目の有休消化率の「かさ増し」には要注意です。
これは例えば、土曜を出勤日として設定し、その日を「有休取得奨励日」にする手法です。
上場企業の多くは完全週休二日制ですが、これは「週休二日」を確保すれば良い仕組みであり、祝日が含まれる週など、休みが3日以上となる場合は土曜を出勤日にできるんですね。
当然社員は休みたいので、この土曜日に有休を使います…。
すると、企業側としては見た目上の「有休消化率」を高めることができるという何ともグレーな状態に。
少なくない民間企業がこのような手法をとっていることを、私たちは知っておく必要があります。
一方、特別区公務員は完全に土日祝日が休みであり、選挙やイベント等の業務で出勤した場合にはきちんと振替休日がもらえます。
その上でさらに、民間の1.5倍以上の有休が取れているのです。

数値で見える以上に特別区と民間の差は大きいと言えるでしょう
【なぜ?】特別区の有給休暇消化率が高い理由3選【資料アリ】
「そもそもなぜ、特別区はそんなに有休が取れるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
結論としては、以下の3つの要因が大きく影響していると考えられます。
特別区の有給休暇消化率が高い理由
- 民間に有給休暇取得を促す立場だから
- 有休消化率の目標値を区民に示しているから
- 職員の定着(=離職防止)への意識が高いから
以下、1つずつ見ていきましょう。
【理由①】民間に有給休暇取得を促す立場だから
特別区は、区内事業者に対して労働環境改善やワークライフバランス充実を呼びかける立場にあります。
例えば杉並区は「ワーク・ライフ・バランス推進ハンドブック」を作成して公開しており、やはりここでも「休暇・休業制度の充実」が大きくPRされています。
このような取組を啓発する区役所では、「自分たちから実践しなければ」という意識が働くため、その結果として各区の有給休暇消化が進むという構造ができ上がります。
よく、公務員の職場は「旧態依然としている」「昭和の体質だ」と言われがちですが、実際にはこのような主張自体が古臭いものなのかもしれません。

むしろワークライフバランスの点では、区役所こそ事業者の手本となる先進的な職場なのです
【理由②】有休消化率の目標値を区民に示しているから
多くの区では「今年度は有給休暇取得○○日を目標」と区民向けに公開しており、目標達成できているかどうかを広く区民の目でチェックされる点が民間企業との違いです。
例えば、新宿区「新宿区職員スマートワーキング・アクションプラン」を見てみましょう。
新宿区職員スマートワーキング・アクションプラン
所属長は、職員の年次有給休暇の取得状況を把握し、年18日以上の年次有給休暇の取得を促します。毎年9月末までに5日以上取得していない職員には、所属長から計画表の提出を指示し、計画的な年次有給休暇の取得を促します。
目標達成に向けた具体的な取組まで明記されており、新宿区の本気がうかがえる内容です。
このように、目標と達成手段まで区民に共有されているので、組織一丸となって取組が進む体制が整いやすいんですね。

実際、新宿区は毎年着実に有休取得日数が増加しています
【理由③】職員の定着(=離職防止)への意識が高いから
少子高齢化の進展で、これから行政組織でも人手不足の懸念があります。
特別区でも経験者採用が積極的に実施されていることからも、人材確保が課題となっていることが分かります。
しかし、Ⅰ類採用・経験者採用問わず、受験生は明らかに昭和・平成とは違う仕事観を持っています。
つまり転職が当たり前の世の中になり、労働環境が悪ければ早期離職してしまう者も多いのです。
そこで特別区行政としては、職員定着率を上げる努力が欠かせません。
実際に、先ほど取り挙げた杉並区「ワーク・ライフ・バランス推進ハンドブック」でも、「社員の定着と優秀な人材の確保」こそワークライフバランス推進のメリットであると強調しています。
この視点に立てば、特別区が今後もいっそう職員に有休取得を促していくことは間違いないでしょう。
【朗報!】特別区は住居手当・職員住宅もメリット多し
ところで、特別区が恵まれているのは有給休暇の制度だけではなく、都市部で気になる「住まい」の面でも、特別区は優れています。
主なポイントは以下の3つです。
ポイント
- いくつになっても貰える住居手当制度
- 安価な職員住宅・防災住宅に入居できる
- アクセスが良いので居住地の選択肢が広い
以下で、1つずつ見ていきましょう!
【その①】いくつになっても貰える住居手当制度

特別区職員は、借家に住む(家を借りている)場合に「住居手当」が支給されます。
※マイホームの場合は支給されないため、特別区職員は家を借りる人がとても多いです。
対象年齢 | 月額手当 |
---|---|
27歳以下 | 27,000円(基本8,300円+加算18,700円) |
28歳~32歳 | 17,600円(基本8,300円+加算 9,300円) |
33歳以上 | 8,300円(基本額8,300円のみ) |
他の市役所などでも住居手当制度はありますが、特別区と比べると支給額が安めに設定されています。
そのため、職員1人あたりの支給額を算出すると上記のランキングのように雲泥の差です。
ランキングから分かるとおり、上位を23区が独占している状況があります。

区ごとに金額差があるのは主にマイホーム率の違いによるものです。
つまり「マイホームに住む=住居手当ゼロ」の職員が多い区は平均支給額が安くなるというロジックであり、区ごとの支給要件に違いはないのでご安心ください!
◆ちなみに…
マイホームを購入したい場合も、特別区公務員は有利です。
そもそも公務員は信用度が高いため、ローンが組みやすい、オトクな(金利の低い)ローンの審査にも通りやすいんです。
さらに民間になるともっと厳しく、近年は「住居手当」の制度自体を廃止する企業や、制度自体はあっても30代以降は手当がゼロになる(若手のみ支給)ケースが増えています。
それと比較すると、特別区は定年まで毎月ずっと手当が出続けます。
生涯トータルで数百万円の差がつく可能性もあるので、この差は大きいですね。
【その②】かなりオトクに住める職員住宅・防災住宅

各区の職員住宅や防災住宅を利用できれば、都心部でも驚くほど安い家賃で生活できます。
上記は台東区の例ですが、23区内でありながら「かなり安い!」ということが実感できるはずです。

もちろん建物が古い場合や、地域活動・防災訓練等への参加義務が課される場合もあります。
それでも支出をグッと抑えられる魅力が大きく、職員の入居希望者が絶えません。
そのため、居住者が循環するように「入居5~7年目までが特に安い」仕組みになっています。
この仕組みをうまく活用し、職員住宅に住めたら賢く資産形成をしていくとよいでしょう。
そうすれば、その後はワンランク上の賃貸マンションに転居することもできますね!(その場合も前述の「住居手当」がしっかりもらえます!)
【その③】そもそもアクセス良い特別区は住む場所が自由
特別区はどの区でも複数の鉄道やバス路線が乗り入れ、アクセスが非常によいです。
そのため、隣接3県(埼玉・千葉・神奈川)から通勤することも容易です。
都外になると一気に家賃が下がるので、駅近や築浅の手頃な物件も見つけやすくなるでしょう。
(実際に入庁すると、都外から通勤している同僚は驚くほど多いです。)
住む場所を自由に選べるのは、他に代え難い、数字には表れない価値です。
- 自由な住まいと経済的安定性(全国随一の水準の住居手当と地域手当【20%】)を両立できる
これは、特別区職員ならではの強みといえるでしょう。
【Q&A】特別区受験生の「人事に聞けない」3つの疑問
ここまで「有給休暇」や「住居」の面から、特別区職員のリアルを覗いてきました。
一方で、SNSで公務員を名乗るアカウントが「休めない」「うちの職場はブラック」などとポストしているのを見ることがある人もいるでしょう。
先にお伝えすると、こういった情報の中には多くの誤情報・偽情報が含まれています。
SNSのネガティブ情報が拡散しやすい(バズる)特性も考慮に入れるべきでしょう。
それでも受験生としては心配になると思うので、以下では受験生の疑問(&人事に聞けないセンシティブな質問)にズバッとお答えします!
【質問①】有給休暇はどの部署でも自由に取れるの?
結論としては、取れます!
むしろ有休取得が各区で奨励されており、逆に有休を取らない職員には取るように上司が声かけをしている状況です。
確かに上司によっては「有休をあまり認めてくれない」要注意人物もいるかもしれません。
しかし、有休取得率の低さは明確に数字に表れるため、そのような部署には即座に指導が入ります。
そして確実に是正されていくので、個々の職員が萎縮する必要はまったくありません。
【質問②】職員住宅や防災住宅に入居する際に、注意することはある?
前述のとおり、職員住宅や防災住宅は築年数の古さや地域活動参加の義務がある場合もあります。
ただ、相場に比べて圧倒的に安い家賃で住めるため、そちらのメリットを大きく感じる職員が多いようです。
どちらかというと、そもそも人気で入居できないというリスクの方が大きいですね。
その場合は前述のとおり、アクセスの良い都外(埼玉・千葉・神奈川)に住むのがオススメです!
【質問③】時期によっては休暇が取れないこともある?
年度末や議会対応、その部署が関わるイベント期などの繁忙期はさすがに取得しづらいこともあります。
一方でそれらの部署では、繁忙期ではない時期にまとめて長期休暇を取る職員が多いです(有休消化のために上司もそれを推奨するケースが多いです)。
飛行機代やホテル代の安い時期に、1~2週間の海外旅行に行く人も珍しくありません。

そもそも特別区は異動が多く仕事の標準化も進んでおり、係内で協力する体制が整っているため、長期休暇を取っても柔軟にフォローが可能なんです。
まとめ
特別区職員は23区平均で労働者平均の1.5倍の有給休暇を消化できおり、さらに年齢制限のない住居手当や、破格の職員住宅などの魅力も非常に大きい自治体です。
そのため、特別区は「都市部で安定した働き方を望む人」にとって非常に有力な選択肢といえます。
もちろん繁忙期があったり、部署によって忙しさの差があることも否めませんが、それは特別区意外の公務員も同じことです。
それでも組織的に持続的な働き方を重視する意識が高く、待遇面も非常に恵まれているのは事実です。
特別区を希望している皆さんはSNSの情報に振り回されず、安心して試験対策を進めてください。
皆さんの努力が実り、特別区に入庁できるよう、応援しています!
予備校概要

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